社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)とは?加入条件や計算方法をわかりやすく解説

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社会保険に関する疑問
  • 給与からは引かれているけど、そもそも社会保険って良く分からない。
  • 社会保険はどういう項目のことを言っているの?
  • 社会保険のメリットとデメリットがわからない。
  • 社会保険料が急に上がったけど、計算はどうなっているのかわからない。
  • 新卒入社や中途採用の場合の保険料はどうなるの?

今回は、日常的に身近にある制度ですが、あまり細かな認識が少ない社会保険についてまとめてみました。

福利厚生や保険料などは、加入する団体によって異なる内容はありますが、大きく社会保険の概要を理解いただきたいと思います。

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目次

1.本記事のテーマ

  • 社会保険とは何か?
  • 社会保険の種類(健康保険、厚生年金、雇用保険など)の紹介
  • 社会保険料の算出方法

2.著者の経験

これまでの主な職歴は、人材サービス業とコンサル業での勤務です。

人材サービス業では14年間勤務し、約3,500名の求職者のみなさんへお仕事をご紹介してきました。また、コンサル業では7年間人事業務に携わり、新卒や中途採用、教育・研修、給与計算、人事労務管理、規定の策定などを行ってきました。

3.社会保険とは何か?

社会保険は、国や地域の政府が提供する制度で、労働者や市民が加入し、将来の不測の事態に備えるための一連の制度です。

その主な目的は、皆さんの経済的な保護を目的として、労働者やその家族が疾病、障害、失業、老齢などのリスクに対処できるようにすることです。

社会保険の主な特徴と要点をまとめてみました。
まずは概要をつかみましょう!

(1)種類と範囲

社会保険は国によって異なり、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険など、さまざまな種類が存在します。

各種類の社会保険は、異なるリスクやニーズに対応しています。

(2)強制的な制度

多くの国では、社会保険への加入が法律で義務付けられています。

日本も一定の加入要件を充たす場合は、強制加入になります。

労働者と雇用主は一定の割合で保険料を支払うことで、保険の利益を得ることができます。

(3)医療サービス

健康保険は、加入者に医療費の一部または全額をカバーすることが一般的です。

これにより、疾病や怪我の際に負担を軽減します。

(4)年金制度

厚生年金は、労働者が退職した際に一定の収入を提供し、老後の生活を安定させます。

これは、年金制度の一部として提供されることが一般的です。

(5)雇用保護

雇用保険は、失業時に一時的な経済的支援を提供します。

失業給付金の支給や再就職支援、教育訓練などが含まれます。

(6)労災保険

労働者が職場での事故や職業病によって損傷を受けた場合、労災保険は医療費や障害者の補償を提供します。

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4.社会保険の種類(健康保険、厚生年金、雇用保険など)の紹介

社会保険は、異なるリスクやニーズに対応するために、さまざまな種類が存在します。以下では、主要な社会保険の種類について詳しく説明します。

(1)健康保険

健康保険は、疾病やケガに対する医療費をカバーするための制度です。
国民全体に健康保険を提供し、基本的な医療サービスへのアクセスを確保しています。

①加入者

通常、全ての労働者や市民が加入の対象で、雇用主と労働者が保険料を共同(折半)で支払います。

メリット

疾病やケガの際の医療費の軽減、予防医療の提供、健康維持プログラムのサポートなどが含まれます。

健康保険の適用範囲

  • 基本医療費
    通常、病院や診療所での診察、入院、手術、処方薬、検査などの基本的な医療費がカバーされます。
  • 予防医療
    予防接種、健康診断、定期的な健康プログラムが提供され、健康促進が支援されます。
  • 緊急医療
    緊急の医療ケースや救急車の利用がカバーされ、急な疾患やケガに対応します。
  • 入院
    通常、入院が必要な場合、入院費用、手術費用、病室の費用が一部または全額カバーされます。

(2)厚生年金

厚生年金は、労働者が退職した際に一定の収入を提供する制度です。
これは、将来の老後の生活を支えるために重要な要素です。

①加入者

通常、労働者が厚生年金制度に加入し、一定の年金保険料を支払います。 雇用主も一部を負担することがあります。

メリット

老後の経済的安定、生活費の一部のカバー、遺族年金などが含まれます。

厚生年金の適用範囲

  • 老齢年金
    労働者が一定の年齢に達すると、定期的な老齢年金が支給されます。
  • 障害年金
    労働者が障害を持っている場合、障害年金が提供され、収入の一部をカバーします。
  • 遺族年金
    労働者が亡くなった場合、遺族に対して年金が支給され、経済的な支援を提供します。

(3)雇用保険

雇用保険は、労働者が失業した際に一時的な経済的支援を提供する制度です。失業給付金が含まれます。

①加入者

通常、労働者と雇用主が一定のプレミアムを支払い、労働市場での失業に備えます。

メリット

失業時の経済的支援、再就職支援、訓練プログラムへのアクセスなどが含まれます。

雇用保険の適用範囲

  • 業給付金
    失業した労働者に対して、一時的な経済的支援が提供されます。
  • 遺族年金
    労働者が亡くなった場合、遺族に対して年金が支給され、経済的な支援を提供します。

(4)労災保険

労災保険は、労働者が職場での事故や職業病によって損傷を受けた際に、医療費や補償金を提供する制度です。

①加入者

通常、雇用主が従業員を保護するために加入し、保険料を支払います。

メリット

職場での怪我や疾病の際の医療費、障害者のための給付金などが含まれます。

労災保険の適用範囲

  • 労災給付金
    労働者が職場でケガをした場合、医療費、失業時の収入の一部をカバーします。
  • 職業病対策
    職業病や健康への影響を最小限に抑えるための対策と支援が提供されます

5.社会保険料の算出方法

社会保険料は「定時改定」と「随時改定」という2つの制度により、毎年収める保険料が変わります。

(1)定期改定

定時改定とは、毎年4月から6月の3か月間に受け取った給与の平均から算出します。算出された平均給与額をから、標準報酬月額が定められます。

そして、その標準報酬月額にもとづいて、9月分給与から翌年8月分給与まで支払う保険料が決定します。

標準報酬月額の算出にあたっては、毎月の基本給与だけではなく、以下の手当も含まれます。一時的な手当等(出張旅費、出張手当、立替金、祝い金、退職金など)は算出には含まれません。

特に、残業手当も標準報酬月額に含まれるため、標準報酬月額を算出する4月〜6月の間に他の月よりも残業を多くしてしまうと、その分標準報酬月額が上がり、保険料も上がってしまうので注意が必要です。

【標準報酬月額の算出に含まれる手当】

  • 基本給
  • 残業手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 役職手当
  • 通勤手当
  • 年4回以上の賞与
新入社員、中途入社社員の場合

新入社員や中途入社社員の場合は、給与の実績がないため標準報酬月額を算出することができません。

この場合、見積給与を算出し、標準報酬月額を決定します。基本給や通勤手当などの固定給与に、残業代などの変則的な給与を見積もりで算出し加え、1ヶ月分の見積給与を出します。

算出した見積給与を標準報酬月額に当てはめて、社会保険料を計算します。この見積給与に基づいて算出された標準報酬月額は8月まで適用され、9月からは4月〜6月の実際の給与に基づいた標準報酬月額が適用されます。

(2)随時改定

9月以後の年度の途中であったとしても、標準報酬月額を改定する場合があります。

変更が必要な場合は、基本給や家族手当などの固定賃金の変動(増えた、減った)があり、その月から連続する3ヶ月の賃金の平均が、現在適用されている標準報酬月額と2等級以上の差が発生した場合です。1等級しか変動がない場合は対象外になります。

およそ2万円から4万円を超える報酬の変動があった場合は、「2等級以上の差」が生じる可能性があります。

注意点は、固定賃金の変動に限られる点です。

代表的なものは残業代です。社会保険料の算定時(4月〜6月)には収入の計算に含まれますが、何故か随時改定時の計算には含まれません。

要するに、4月〜6月まで残業代を多くもらってしまうと、標準報酬月額があがり併せて社会保険料があがります
しかし、7月以降に残業がほとんどなく収入が激減した場合、随時改定による社会保険料の減額計算は行われません。

随時改定は、あくまで固定賃金が減額した場合に限られることがルールとなっています。

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