大阪・関西万博の日本館で警備員が装着している最新機器が、SNSで大きな話題を呼んでいます。
片目を覆う「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)」は、人気漫画「ドラゴンボール」に登場する戦闘力測定器「スカウター」に似ていることから、来場者の注目を集めています。
この未来的な装備は一体どんな機能を持ち、警備活動をどう変えているのでしょうか?
本記事のテーマ
- 驚きの機能とは?警備の現場を変える最新技術
- なぜヘッドマウントディスプレイなのか?従来の警備との違い
- 片目だけを覆うデザインの意図とは?
- 導入の背景と今後の展開
- 利用者の不安や疑問に対する回答
1.驚きの機能とは?警備の現場を変える最新技術

このスカウター型のヘッドマウントディスプレイは、警備会社「テイケイ」(東京)が自社開発した最新の警備機材です。
日本館内の防災センターからリアルタイムで送られる映像や文字情報が表示され、警備員は業務中に貴重な情報を即座に確認できます。
- 警護対象の要人の顔写真
- 不審者の顔写真や特徴
- 要人の到着予定時刻
- その他の警備関連情報
また、警備員の胸に取り付けられたカメラで撮影された映像は、防災センターにリアルタイムで送信されます。
これにより、現場の警備員と防災センターが常に情報を共有し、連携した警備体制を敷くことが可能になっています。

2.なぜヘッドマウントディスプレイなのか?従来の警備との違い

従来の警備では、無線機やスマートフォンなどの機器を使用することが一般的でした。しかし、これらの機器には操作のために両手が必要になるという大きな欠点がありました。
特に要人警護のような緊急時に迅速な対応が求められる場面では、このわずかな時間差が重大な影響を及ぼす可能性があります。
ヘッドマウントディスプレイの最大の特徴は「ハンズフリー」であることです。警備員は両手を自由に使いながら、必要な情報をリアルタイムで視界に入れることができます。
この効率性は、混雑する万博会場のような環境では特に重要となります。
- 情報確認と警備行動の同時進行が可能
- 無線交信の手間と時間を大幅に削減
- 視線を移動させずに情報を確認できる

3.片目だけを覆うデザインの意図とは?

多くの皆さんが疑問に思われるのが、なぜ両目ではなく片目だけを覆うデザインなのかという点でしょう。これには明確な理由があります。
警備業務では常に周囲の状況を把握することが最も重要です。
両目を覆うタイプのVRゴーグルなどは、現実世界から完全に遮断されてしまうため、警備業務には適していません。片目だけを覆うことでのメリットには、次のような内容があります。
このバランスが、警備業務に最適な設計となっています。
- 片方の目で現実世界を常に監視できる
- もう片方の目では、必要な情報を確認できる
- 周囲の状況把握と情報収集を同時に行える

4.導入の背景と今後の展開

テイケイ社によると、この先進的なHMDは今回の大阪・関西万博で初めて実戦導入されました。
同社西日本事業部次長の鈴木一さん(44)は「防災センターと情報を共有しながら、トラブルを未然に防ぎたい」と説明しています。
日本館は各国の賓客を迎える重要な場所であるため、高度なセキュリティが求められています。
このHMDの導入は、最新技術を活用した警備強化の一環といえます。
今後はこうした技術が他の大規模イベントや重要施設の警備にも広がっていく可能性があります。社会のデジタル化が進む中で、警備の現場にも最新技術が取り入れられる流れが加速していくと考えられます。

5.利用者の不安や疑問に対する回答

新しい技術の導入には常に疑問や懸念が付きものです。
HMDの活用に関して、多くの方が以下のような疑問を持つかもしれません。

常に装着していると目が疲れないのですか?



警備用に特化して開発されているため、長時間の使用でも目の疲労を最小限に抑えられるよう設計されています。
また必要な情報だけを表示する最適化も行われています。



プライバシーの問題はないのですか?



運用には厳格なガイドラインがあり、収集される情報は警備目的のみに使用されます。一般来場者の個人情報収集は行われません。



装置の重さや違和感はないのですか?



警備員が長時間装着しても負担にならないよう、軽量かつ安定した装着感を実現しています。警備員の動きを妨げない設計となっています。



故障時のバックアップ体制は?



従来の無線機器なども併用しており、複数の通信手段で情報共有を行っています。
一つのシステムに依存しない冗長性のある体制が整えられています。

