- 職務経歴書の要約欄の役割、必要性とは?
- これまでの職歴をどの程度まとめて書いたらいいの?
- 1社で複数の部署を経験している場合はどのように書いたらいいの?
- 転職回数が多い場合、少ない場合の書き方はどうしたらいいの?
- なぜ要約欄は作りこまないといけないの?
職務経歴書の一番上にある要約欄は、沢山の応募者をまとめる採用担当者にとって、応募者の概略を短時間で把握することができる重要な部分になります。
40代の転職において、1社で長く務めてきた方は「専門性が高く深い経験」があり、転職により複数社で努めてきた方は「多様な仕事の進め方や考え方、改善の仕方など」を経験してこられたと思います。
そのため、キャリアのある40代の転職においては、その内容を簡潔にわかりやすく、そして魅力的に要約欄を書くことが必須条件であり、ここで採用担当者の目にかからなければ、書類選考を通過することは不可能です。
何事も「つかみ」が重要です。職務経歴書も出だしの書き方次第で、その後の印象度や見方が大きく変わってきます。
これまでの職歴の見出しを集めたレベルの要約欄では、担当者の見る意欲を低下させ、そのイメージは本文を見る段階でも影響します。「多分、だめだろうな」という意識で読み進めていきます。
採用担当者時代は、本当にこのような気持ちになりました。やはり冒頭が読みやすくまとまっている経歴書は、全体的に質が高い傾向にあります。なによりも「もっと読んでみたい!」という期待感が生まれます。
今回は、十分にキャリアを積んでこられた40代の皆さんの職務経歴書「要約欄の書き方」について、詳しく説明していきます!
1.本記事の内容
- 要約欄の意味について
- 要約欄の重要点 注意する5つのポイント
- 要約欄の書き方例
- 要約欄の使い方
2.著者の経験
これまでの主な職歴は、人材サービス業とコンサル業での勤務です。
人材サービス業では14年間勤務し、約3,500名の求職者のみなさんへお仕事をご紹介してきました。また、コンサル業では7年間人事業務に携わり、新卒や中途採用、教育・研修などを行ってきました。
転職や就職情報のほか、面接時の雑談や、お仕事場での日常的なコミュニケーションツールとして、日々のニュースやトレンドの情報も、お伝えしていきます。
3.要約欄の意味について
(1)要約欄は職歴の「あらすじ」です
要約欄は職務経歴書の冒頭部分に設置されており、皆さんのこれまでの職務経歴の「あらすじ」であるとともに、人間でいうところの外観(容姿)です。
皆さんのこれまでの職歴は、箇条書きにしても十分な量があると思います。
勤務してこられた社数にもよりますが、目安としては全体で300から400文字、多くても500文字以内でまとめてください。あくまでも要約欄です。担当者がわかりやすく、読みやすい文章構成であることが最低条件です。
複数個所で勤務されていた方は、1社ごとの職歴について2〜3行程度で簡潔にまとめるとともに、自己PRとして、最も印象的なスキルや経験を強調し、印象を残すことが大切です。要約欄≒自己PR欄でもあります。
また、この要約をしっかり作りこんでいただくと、採用担当者としても非常にメリットがあり目に留まりやすくなります。
よくまとめられた要約欄は、人物把握の他、採用担当者の実務的にも大きなメリットがあります。
特に40代の選考は非常に職歴が複雑化している傾向にあるため、自社にとって必要な人材かの判断工程で、以下のような実務メリットがあります。
- 多数の応募者の職務経歴書に目を通すため、「雑なもの」、「コピペを利用したもの」などは経験上すぐに判断できるため、書類選考可否判断の大きな目安となる。
- 転職サイトを経由する場合も同様で、転職サイト内の企業担当者も同様のメリットがある。
- 1次面接に進めるかとうかの採用担当者ミーティング等で、応募者の全容を簡潔にメンバー間で共有できる。忙しい採用担当者が不備を感じる経歴書の方を、拾い上げてくれる可能性はほぼありません。
- 書類選考通過者をリスト化する段階で、応募者のストロングポイントを整理しやすい。
- 仮に今回の募集求人に合致しなくても、潜在的な求人へのマッチングにつながる可能性がある。
私自身、転職エージェントとして人材を紹介する経験、人事担当者として実際に採用を行ってきた経験上、本当にこの要約欄が重要であることを理解しました。
30代以上に転職サポートに強い!《マイナビ転職エージェントサーチ》
(2)要約欄はあなたの第一印象です
フォーム上、なんとなく記載が必要なイメージの方も多かったのですが、要約欄は人間で例えると「外観」です。
人間の印象は、出会った時の3秒で決まると言われています。まさに、職務経歴書の要約欄は同じような意味を持っています。
40代の皆さんは職歴や経験が多いため、特に身だしなみを整えないと、一目見た段階で「NO」と思われてしまうこともあります。
PRしたいキャリアの主張だけではNGです。「文章としてのまとまり」=「身だしなみ」が必要になります。
極端な例として、モヒカンにピアス、半ズボンのスーツにビーチサンダルのようなスタイルの応募者が来たら、それは良い部分のPRではなく、変質者としてカテゴリーされてしまうことと同じです。少し、極端な例ですね(笑)。
(3)時間をかけても十分なリターンが得られる
要約欄は、その企業に対してどれだけメリットのある人材であるかをアピールできる、最初の大きなチャンスです。
簡単そうで奥が深く、そして想像以上に面接結果に影響を与えるのが要約欄です。
おそらく、他の応募者は皆さんに近い職歴を持っているケースが多いと思います。営業職には営業経験者が沢山集まるイメージです。
じっくりと時間をかけて、他の応募者を意識して表現できるように試行錯誤を重ねてください。その努力は必ずプラスに働きます。
それは職務経歴書全体を見てもらうことにつながり、結果、面接に進む可能性を高めることができるのです。
4.要約欄の重要点 注意する5つのポイント
要約欄自体は非常に短いカテゴリーですが、書き始めると短いものほど難しさを感じるはずです。
逆に5,000文字で自己PRしてくださいと言われるほうが、500文字でまとめるより余程楽なことがわかるはずです。
以下に書き方でのポイントをまとめてみました。
順番としては、職務経歴書を作成してから抜粋する進め方が良いと思います。
職務経歴書の書き方については、別記事で詳しく説明しておりますので、お時間があればそちらも参考にしてみてください。
転職サイトに掲載されていない【非公開求人】の紹介を受ける方法は?
職務経歴書は一番最初の勤務経歴(古い勤務歴)から順番に書いていきます。
当然ながら、学校を卒業して入社した段階では一般職であるため、業務内容が薄くなります。インパクトのある経歴にはなりにくいと思いますが、しっかりと当時の仕事を棚卸してポイントをまとめてください。
また、管理職でない場合でも、新人への教育や支援、業務改善、新しい業務の提案や積極的な関わりなどは好印象素材です。
まずは職歴を細かく棚卸し、箇条書きしてください。その中でこれは伝えたい部分をピックアップしていきましょう。
自身の経歴を知って欲しいと思えば思うほど、細かく書きたくなります。しかし要約欄は「あらすじ」です。つかみの部分であることを忘れずに、PRしたい経歴をまとめましょう。
また、目安としては2~3行のイメージですが、一文一文は短く簡潔に書きあげましょう。
ずっと「、」でつながる長い文章は読みにくく、相手も理解しにくい文章になってしまいます。
1社での経歴が長い場合、様々な部署で仕事を経験することがあります。
その場合は応募求人の内容に併せて、同じような業務で経験値をアピールできる部分、即戦力として活躍の期待値を高められる部分などを絞りましょう。
目安として、特にアピールしたいポイントを3つ程度抜き出し、簡潔にまとめていきましょう。
部署が異なる場合はそれぞれの部署でアピールできるポイント(募集求人になるべく関係するような業務)を中心に、選択してください。
要約欄は最も大切な部分ですが、具体的な自己PRや職歴を説明する場所ではありません。
学校を卒業され、社会人として20年ほど経過された皆さんの貴重な経歴は、しっかり本文で記載してください。
あらすじ部分という意識を忘れずに、先ほどのとおり全体として300文字から500文字程度でまとめるように心がけてください。
5.要約欄の書き方例
ここまでで、要約欄の意味や記載する際に心掛けるポイント等について、理解いただけたと思います。
参考に、要約欄の記載例を書いてみました。
アルバイトやパートでの勤務経験についても十分な経験なので、遠慮なく記載をしてください。
※私の実際の内容をベースとしているので、少し社数は多くなっております。
(1)要約欄の記載例
大学卒業後、旅行業の○○株式会社へ入社。国内および国外の旅程管理、企画、旅券手配に従事。その後、コンビニエンス業を営む株式会社□□へ入社。実店舗でのオペレーションを経験後、加盟店管理を業務とするスーパーバイザー職に従事。担当加盟店の店舗運営および経営管理支援等に携わった。また、人材サービス業の株式会社◇◇では、提案型の法人営業(人材紹介、人材派遣)から、拠点管理およびプロジェクト管理等に携わり、幅広い職種を経験することができた。
その後、家庭の状況の変化に伴い、経営コンサルティングを行う☆☆会社に勤務。人事部門にて採用、研修、給与計算、労務管理等の人事業務に従事した。
現在は、商業施設を営む株式会社◎◎にて、施設管理者として従事。店舗管理、採用、労務管理、イベント企画等、管理業務全般に従事している。
6.要約欄の使い方
要約欄は、職務経歴書の冒頭に位置しますが、書き方としては、これまでの職務経歴を書き終えた後に、主な部分を抜粋する流れで作成していきます。
要約欄の使い方?と感じられるかたもいらっしゃると思いますが、実はこの要約欄、その後の面接時においても非常に効力を発する項目になります。
面接の際には必ず「自己紹介と合わせて、簡単にこれまでの職歴を説明してください」と進行されます。
その際に、登場してその威力を発揮するのがこの「要約欄」です。
「既に提出済みですが、職務経歴書のとおり」と前置きし、要約欄をほぼそのまま説明してください。これで完全な職歴紹介を簡潔に行うことができます!
余談ですが、最近はWEBでの面談も多かったため、私はパソコンのキーボード部分や、WEBカメラのそばに要約欄を貼り付け、さも流暢に自己紹介をしていました(笑)。
実際の対面面接においても、手元に職務経歴書を置くことは全く問題ありません。
職務経歴書の要約欄を見ながらで、自己紹介を行いましょう。
ここまで頑張って自分自身と向き合い、要約欄を作り上げてこられた皆さんは、きっと、これまでにないスムーズな自己紹介ができるはずです(^^) 応援しております!