2024年4月15日、X(旧ツイッター)オーナーのイーロン・マスク氏が、新規ユーザーの投稿に課金制度を導入する方針を明らかにしました。
制度の導入背景は、「ボット」と呼ばれる自動投稿プログラムを削減する狙いがあるようです。具体的な金額や導入時期などは現在のところ明らかにされていません。
本当にこうした災害時における金銭目的の投稿や、広告誘導などは一日も早く撲滅対応してほしいですね!
今回は速報的に発表された、X社のコメントとこれまでの背景をまとめています。
1.今回のテーマ
- X社の課金対応の方針
- 能登半島地震におけるXの「インプ稼ぎ」
- 日本政府の対応
2.X社の課金対応の方針
マスク氏は、Xに「新規ユーザーに少額の料金を課すことが、ボットの攻撃を抑える唯一の方法だ」と投稿されています。
課金するのは新規ユーザー登録からの3か月間の期間で、その後は通常どおり無料でサービスを利用できると発表されています。既にアカウントを保有している既存のユーザーは、課金の対象外ですね。
Xは2023年10月、既にニュージーランドとフィリピンで、新規の未認証アカウントによる投稿や他者への返信に対して、年会費1ドル(約150円)の有料会員サービスを始めています。
投稿や返信、他のアカウントの投稿に「いいね」などをする場合には有料サービスへの加入が必要としており、このサービスを今後拡大していくと推察されています。
4.能登半島地震におけるXの「インプ稼ぎ」
石川県の能登地方で震度7の揺れを観測した地震のあと、X(旧ツイッター)では救助を求める多くの投稿がありました。そしてその中には偽のフェイク投稿も多数ありました。
投稿されたアカウントの多くは海外のものとみられており、タイトル以外は全く関係のない事件やニュース、コメントなどが張り付けられています。
Xにあふれるこうした無意味なコメントは、収益目的の投稿「インプ稼ぎ」の一種とされており、Xが削除しても、別の利用者がゾンビのように続々と投稿するため、「インプレゾンビ」と言われています。
これは、Xでは課金しているユーザーが一定の閲覧数=「インプレッション」を獲得した場合に収益が得られる仕組みがあり、一部の悪徳ユーザーは注目(収入)を集めるために投稿しているとみられます。
能登半島地震のニュースに「日本は美しい」「幸せになって」…インプ稼ぎで「X」にあふれる無意味投稿
読売新聞オンライン 能登半島地震のニュースに「日本は美しい」「幸せになって」…インプ稼ぎで「X」にあふれる無意味投稿 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
Xのクリエイター広告収益分配プログラムは、X Premium(旧Twitter Blue)に加入しているユーザーなどに広告収益を分配する仕組みです。参加条件は以下の4つです。
※X Premiumは安いプランだと月額368円、最も高額なプランは月額1960円で加入可
- 「フォロワーが500人以上」
- 「過去3カ月間の投稿に対するインプレッションが1500万件以上」
- 「Twitter Blueまたは認証済み組織にサブスクライブしている」
Xは規約で自然災害などを収益化に利用することを禁じていますが、実際はフェイク情報にかかる投稿に規制はなく、X側が対応を強化する必要があると指摘されてきていました。
5.日本政府の対応
2024年2月、こうした能登地震での偽情報が拡散したことを受け、総務省はSNSなどのプラットフォーム事業者を対象に、偽情報の削除件数や監視体制などの調査を開始しました。
2024年3月下旬から、X、メタ、TikTokなど海外事業者への聞き取りを始めています。今回のX社の対応はこうした一連の調査の現れてあると推察されます。政府は2024年夏をめどに報告書をまとめる方針です。
これまで日本では「表現の自由」があり、事業者の自主性に委ねるのが基本的な立場でした。しかし、能登半島での心無い金銭目的の投稿が引き金となり、これまで抑制していた対応に足を踏み込み、法制化を視野にいれた議論が進められています。