まるごと簡単解説!定期昇給とベアの違い 春闘や連合って何??

会社員であれば、「定期昇給」、「ベースアップ(略称「ベア」)」という言葉を知っている、または聞いたことがある人は多いと思います。

両方とも、皆さんの賃金が上がる事には変わりがありませんが、それぞれ意味は大きくことなります。

この2月から3月くらいになると、毎年、連合が春闘で「定期昇給とベースアップを合わせて、〇〇%の賃上げを交渉した、あるいは成功した」、といったニュースが流れます。

今回は、この「定期昇給」、「ベースアップ(略称「ベア」)」について、簡潔にわかりやすくお伝えしていきます。

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目次

1.本記事のテーマ

  • 「連合」とは
  • 定期昇給」とは
  • ベースアップ(ベア)」とは
  • 定期昇給とベースアップに関するよくある疑問

2.著者の経験

これまでの主な職歴は、人材サービス業とコンサル業での勤務です。

人材サービス業では14年間勤務し、約3,500名の求職者のみなさんへお仕事をご紹介してきました。また、コンサル業では7年間人事業務に携わり、新卒や中途採用、教育・研修などを行ってきました。

転職や就職情報のほか、面接時の雑談や、お仕事場での日常的なコミュニケーションツールとして、日々のニュースやトレンドの情報も、お伝えしていきます。

3.「連合」とは

連合というのは日本労働組合総連合会の略称で、1989年に結成された日本のナショナル・センター(全国中央組織)です。加盟組合員は約700万人、すべての働く人たちのために、雇用と暮らしを守る取り組みを進めています。

多くの企業にとって新年度となる4月に向けて、労働組合が労働条件について要求し、使用者(経営者)と交渉し決定することをいいます。大手企業を中心に、労働組合が企業に要求を提出するのが2月、企業からの回答が3月頃であることから、「春闘」と呼ばれているのです。

企業に労働組合があり、連合に加盟している労働組合のある会社は、この決定が直接的に賃上げに影響します。労働組合がない、あるいは非加盟の会社の場合は、この結果を参考として考える程度にとどまります。

ブラック企業や、労働組合のない企業においては、全く関係ないというケースも多いので、春闘の結果が全ての会社に適応される内容でないことを理解してください。また、加盟していても守らなければいけないという法律もありません。

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4.「定期昇給」とは

「定期昇給」とは、「毎年4月に昇給」「毎年4月・10月に昇給」というように、毎年一定の時期を定めて、社内の昇給制度に従って行われる昇給を指します。昇給の時期・回数などは企業によって異なります。 

定期昇給は、各個人の勤続年数や年齢に応じて賃金が上がる制度です

日本の会社では長年にわたり、年功序列制度が一般的であり、現在も年齢や勤続年数が増えるごとに基本給が上がることが一般的です。

しかし、近年では成果主義や人事評価制度が導入され、年齢や勤続年数だけでなく、個人の業績やスキルに応じた賃上げがますます重視され、定期昇給自体がなくなっています。

定期昇給がないこと自体は、法律違反にはなりません。就業規則に必ず定期昇給があるという内容が記載されているのにも関わらず、実施されていない場合は違法となります。

2021年調査では社員数100名以上で定期昇給制度がない会社の割合は16.9%でした(一般職のみ※)。制度はあるものの、昇給を中止または延期した会社も合わせると、23.9%に上ります。昇給がないのは、決して珍しいことではありません。

令和3年賃金引上げ等の実態に関する調査|厚生労働省

中小企業は大手企業と比較すると経営基盤が弱く、社員の給料を上げる余裕がない会社が多いといえます。

しかし、定期昇給がなくとも各種手当(家族手当、燃料手当、食事手当など)が改善されたり、賞与支給率が上がったりするなど、定期昇給以外の方法で賃金改善を行っている会社もあります。

ただし、こうした処置はその年限りのケースもあり、基礎賃金自体を上げる定期昇給とは根本的に意味が異なるので、注意が必要です。

※基礎賃金は、賞与や退職金などを計算する場合に影響する数字(賃金)です。特に手当などは退職金計算には加味されないため、長期的な視点で自身にあった企業を選択することも重要です。

5.「ベースアップ(ベア)」とは

ベースアップとは、全従業員の基本給(ベース)を一律に引き上げる(アップ)賃上げ方法のことです。略して「ベア」と呼ばれています。

ベースアップは個人の勤続年数や年齢、成績などにかかわらず、企業全体で一律に賃金を底上げする制度です。管理職、一般職も関係ありません。

例えば、会社が4月から「ベア3%」を決定した場合を考えてみます。

①月収200,000円の一般社員の場合
 200,000円×3%=6,000円(ベースアップ額)→4月以降の給与は、206,000円に改定されます。

②月収400,000円の管理職の場合
 400,000円×3%=12,000円(ベースアップ額)→4月以降の給与は、412,000円に改定されます。

このように、ベースアップは個人を対象とせず、社員全体の給与を一律に改定します。

そのため、ベースアップは企業にとって人件費(固定費)の大幅な増加となり、経営に大きなインパクトを与えます。賞与などと異なり、一時的な支払いではないため、次年度はこの改定をもとに、昇給やベアが検討されるためです。
※定期昇給やベースアップなどの賃上げ後の撤回は、労働契約法第9条の「不利益変更」に該当します。

また、定期昇給と同様に、ベースアップ(ベア)がないこと自体は、法律違反にはなりません。

企業がベースアップを行う背景は、労使交渉(労働組合との交渉)の結果のほか、従業員のモチベーションアップや、物価上昇時の生活費補填、企業イメージの向上などがあります。
また、大企業の場合は経済産業省から利益が出た場合には、しっかりと従業員に還元する事が示されています。実際には、こうした政府からのプレッシャーや、企業イメージの失墜を検討し、ベアに対応している側面もあります。

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5.定期昇給とベースアップに関するよくある疑問

これまでのとおり、実際の会社においては経営状況や経済状況を判断し、必ずしも定期昇給やベースアップが実施されている状況ではありません。

そのため、「自分の会社はベースアップしないのか?」「労働組合がない場合はどうなるの?」など、気になる点も多いと思います。そこで、定期昇給とベースアップに関するよくある疑問をまとめてみました。

ベースアップと定期昇給は両方行われることはあるのか?

これまでの説明のとおり定期昇給とベースアップは全く別のものです。
そのため、会社の業績が良い場合などは、労働組合も積極的な交渉を行うため、両方が同時に改定されることもあります。ニュースなどで「定昇とベアを合わせて5%改定」などがその例となります。

定期昇給やベースアップがこれまで全くない場合は違法?

こちらも前述のとおり、双方とも必ず行わなければならない定めはありません。賃金改定が行われなくとも法律上の罰則はありません。

ベースアップはあったが、手取り額が減ってしまった?

ベースアップにより基本給が変動し、社会保険料が上がる場合があります。
定期改定という制度で、基本的には4月~6月の給与(手当含む)の平均額を標準報酬月額に当てはめ、その年の社会保険料を確定します。ここで決まった保険料は、その年の9月分給与から翌年の8月分給与まで支払う保険料となります。

労働組合がない場合は?

賃金改定や労使トラブルなどを、正式な申し出として労使交渉できる制度が労働組合の主な特徴です。個人ではなかなか賃上交渉などは難しいのが現実です。
この場合は、①新規で労働組合を作る(管理監督者以外の2名以上であればOK)、②外部の労組(ユニオン)に加入する、などの選択肢があります。
ただし、労働組合が会社内にあっても、実質的に機能していない労組も多くあります。形式的に存在だけしており、会社の言い分をそのまま受け入れているような労組です。
これは、管理職になると労働組合員の要件を満たせなくなり、労組を脱退し経営側の人間になります。その場合、労組時代の功績が仇になる場合もあるため、労使交渉に消極的な労組(社員)が存在することも多々あります。

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