- アルツハイマーの最新治療薬「レカネマブ」とは?
- アルツハイマーの新薬はどのような人が対象ですか?
- アルツハイマーの新薬はいくらくらいするのでしょうか?
- 日本ではいつから保険適用になるのか?
- 高額医療費制度の適用は?
厚生労働省は13日、中央社会保険医療協議会(中医協)で、アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ(販売名・レケンビ)」を公的医療保険の適用対象と認定しました。
患者1人当たり(体重50キロの人の、1回あたりの価格を約11万4千円と想定)し、年間およそ298万円を保険適用の対象とすることを決めました。
1.本記事のテーマ
- アルツハイマーの最新治療薬「レカネマブ」とは?
- 新薬の投与対象者
- 新薬の投与開始時期
- 新薬の金額と自己負担額(高額医療費)
2.著者の経験
これまでの主な職歴は、人材サービス業とコンサル業での勤務です。
人材サービス業では14年間勤務し、約3,500名の求職者のみなさんへお仕事をご紹介してきました。また、コンサル業では7年間人事業務に携わり、新卒や中途採用、教育・研修などを行ってきました。
3.アルツハイマーの最新治療薬「レカネマブ」とは?
レカネマブは、製薬大手「エーザイ」と米製薬会社「バイオジェン」が共同で開発した、アルツハイマー病患者の新薬です。
病気の原因と考えられている、脳内の異常物質に直接働きかけて、取り除く初めての薬となります。
根本的な治療薬ではないとのことですが、病気の進行を遅らせる効果が期待されています。
レカネマブは、アルツハイマー病患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」を取り除く新しいタイプの新薬で、2023年9月に厚生労働省が製造販売を承認しました。
臨床試験では、2週に1度の点滴を1年半続けた人は、症状が悪化するペースを27%抑えられたとの結果がでております。
効能は、低下した認知機能を元に戻す効果はなく、投与対象は早期患者に限られるとの説明が発表されました。
4.新薬の投与対象者
投与の対象者は、脳内に異常なたんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」の蓄積が確認された「アルツハイマー病患者」です。
認知症は、軽いものから、認知症と診断される前の「軽度認知障害」、軽度の認知症、中等度の認知症、重度の認知症と進行して認知機能が低下していきます。
今回の対象者は、認知症の症状が「軽度の人」と、その予備軍となる「軽度認知障害」の人となります。
厚労省は投与について、原則1年半を限度とし、その後は症状を評価して継続するか決めるよう求めました。
※認知症の専門医によりますと、レカネマブの投与対象となる患者は、認知症患者全体の1割未満とみられるということです。
厚労省は、脳の浮腫や微小出血などの副作用に適切に対応するため、投与できる医療機関を限定しました。
また、最初の半年間については、投与する医師や医療機関の要件をガイドライン(指針)で示しました。
半年以降は、連携する医療機関でも投与できるとされています。
- 認知症などの診療経験が10年以上あり、新薬の研修を受けた常勤の専門医が複数いること
- 脳のMRI(磁気共鳴画像)検査を、定期的に実施できる施設であること
5.新薬の投与開始時期
2023年12月20日から医療現場で使用(保険適用)できる予定です。
6.新薬の金額と自己負担額(高額医療費適用)
保険の適用対象とされる「レカネマブ(販売名・レケンビ)」については、、体重50キロの人の1回あたりの価格を、約11万4千円とすることで了承されました。年間換算で、1人あたり約298万円となります。
1回の投与量は、体重1キロ当たりで10ミリグラムとなり、体重50キロの人が1回で使う量は500ミリグラムの換算になります。
医療保険が適用されることで、患者の自己負担額は1~3割となります。
医療費が高額になった場合、患者の所得に応じて一定額が払い戻される「高額療養費制度」の対象にもなり、実際の負担はさらに抑えられる見通です。
例としては、70歳以上の一般所得層(年収156万~約370万円)では、自己負担が年間14万4千円となる見通しです。