- 世代ギャップがあり、部下との適切なコミュニケーションが難しい。指示やフィードバックの伝達がうまくいかない。
- 部下のモチベーションを維持し、高いパフォーマンスを継続させる方法がわからない。
- 部下のスキルやキャリアの成長をどう支援すべきか、適切な指導方法について良いアイデアが出てこない。
- 仕事とプライベートを分ける価値観が強すぎて、どのように指導してよいかわからない。
- 自分の仕事以外について積極的に取り組む姿勢が少なく、人間関係の構築にも関心が薄い。
- 録音機器などを用意している。会話自体が怖い、強く指導することが怖い。
今回は、上司側からの視点で部下とのコミュニケーションについて、その悩みと解決策を考えてみました。
50代の上司もいれば、30代の上司もいると思います。比較的世代ギャップの少ない30代上司であっても、年下の部課との悩みは尽きないことが統計からも表れ始めています。
1.本記事のテーマ
1.部下のモチベーションを維持し、高いパフォーマンスを継続させる方法
2.効果的な部下の育て方
3.フィードバックの重要性
4.まとめ
2.著者の経験
これまでの主な職歴は、人材サービス業とコンサル業での勤務です。
人材サービス業では14年間勤務し、約3,500名の求職者のみなさんへお仕事をご紹介してきました。また、コンサル業では7年間人事業務に携わり、新卒や中途採用、教育・研修などを行ってきました。
3.部下のモチベーションを維持し、高いパフォーマンスを継続させる方法
自分より年上、年下、そして入社間もない部下など、上司のみなさんには様々な環境があるかと思います。
そして、それぞれの部課に個性があり、様々な考え方や言い分をとりまとめ、日々チームをけん引されていると思います。本当にパワーがいる業務だと思います。
その中、部下のモチベーションを高めることは、生産性の向上やチームの成功に直結する重要な要素です。
私のマネージャーとしての信念はずっと変わらず、数字の結果を残すこと、部下のみなさんへ働きやすい環境を提供することです。
そして結果に見合う給与を支払いすることが、上司である自分の使命と思って取り組んできました。
時として、それは強い指示を出さなければいけない場面であり、パワーをかけなければいけないタイミングでは多くの残業をお願いすることもありました。
それを支えていたのは、やはり今も昔も変わらない「日常的な人間関係」だと思います。
上司としては、「常にみんなに好かれたい」という心情は、当たり前に気持ちの中にあるとおもいます。
そこを割り切り、最終的な部下全員の幸せを考え、強く反発されることも覚悟し牽引していくことが重要だと考えます。
部下のモチベーションを維持し、高いパフォーマンスを継続させるための方法について、私なりの経験をまとめてみました。
(1)目標の明確化と共有
部下に具体的な目標やビジョンを明確に伝え、彼らが自分の仕事がどのように組織の目標に寄与しているかを、正確に理解してもらうことが大切です。
目標が明確で具体的であれば、自然に部下は自身の役割を重要だと感じ、モチベーションを維持しやすくなります。
一人一人の腹に落ちる説明がポイントとなります。伝わる言葉は千差万別です。
個性を理解して、心に届く言葉で説明を行うことを心がけましょう。
(2)成果を認める
部下が成果を上げた際には、その努力や成果を公平に認めることが重要です。
一生懸命努力して結果を出した場合は、そのプロセスも含めてメンバー全員に共有してあげましょう。
明確な賞賛や褒め言葉を通じて、部下の自尊心とモチベーションを高めてあげましょう。
テクニカルな表現になりましたが、褒められることは私自身も一番うれしい瞬間です。
(3)課題と成長のバランス
成長の度合いをみながら、部下には挑戦的なプロジェクトや新しいスキルの習得を提供することが大事です。
陰から状況を見据え、いつでもカバーできる体制を整えながら「少し高めのハードル」位を提供することで、成長の機会を提供することができると思います。
(4)ワークライフバランスの尊重
特に現代は、ワークライフバランスを尊重する時代に移行しています。
適切な就業環境を提供することは、モチベーションを高める一因となります。
意味もなく腹落ちできない残業や、非効率な業務については業務の棚卸を実施し、断捨離を行うことが大切だと思います。
全員で話し合い、まずは業務全体を見直しましょう。
過度なストレスや負荷を避けるために、フレキシブルな働き方をの実現に向け、メンバー全員でサポートし合う環境を整えてあげましょう。
(5)チームの連帯感と協力
簡単なことではありませんが、前述までの土台となるもの、そのすべては就業環境だと考えます。
若い方の考え方や世代間ギャップも良く話を聞きますが、本質的な部分について私は何も変わっていないと思います。
むしろ、現代の若い方ほど情報量が多く、多くの情報を精査できていると思います。
自分の時代の成功体験は、必ずしも現代において成功できる手法ではないと思います。
上司であるみなさんは、これまでの成功体験や失敗経験を共有し、実経験に基づいた情報を与えてあげることが重要だと思います。
そうした環境下の中、部下がチームの一員としての貢献を感じることで、モチベーションが向上します。
社内外における活動や、共通の目標を通じて、部下同士の連帯感を促進する環境を整えましょう。
(15年前の私の取組み)
ちなみに私は、私に対する改善ポイントを指摘する会議や、他の部門ではやっていない取組みのアイデア会議、部署で個別に積み立てを行い1泊程度の小旅行などを行っていました。
私に対する改善点を指摘する会議は、今思うととても斬新な取り組みだったと思います。
遠慮なく発言する前提を作っていたので、本当に遠慮のない発言が、逆に私を成長させてくれたと思っています。
いや、本当に遠慮ない発言で、メンタルが持っていかれそうになることも。ありましたが。。(笑)
4.効果的な部下の育て方
効果的な部下の育て方には、諸説さまざまなアプローチがありますが、以下に自分の経験に基づいた、5つの主なアプローチ方法をまとめてみました。
これらのアプローチを局面で組み合わせて使うことで、部下を成功に導くリーダーシップを発揮することができると思います。
(1)個性に合わせた指導
各部下のスキル、能力、興味などに合わせて、個別の指導を行うことが最も重要です。
決して、部門やチームの目標をそのまま指導してはいけません。
定期的なパフォーマンスの評価や、日常的な会話などを通じて、部下の強みと成長の余地を特定しましょう。
その上で、個々に異なる成長に合わせた目標や課題を提供して、適切なサポートを心がけてください。
部下はみなさんのフィードバックを、心から待っています。
(2)目標設定とフィードバック
それぞれの部下に具体的な目標を設定し、それを達成するための計画を一緒に考え、共有することで、彼らのモチベーションと成果を向上させることができます。
必ず定期的な進捗チェックやフィードバックを行ってください。
部下の進歩を十人十色です。思いもよらないところでつまずくことや、想定外の行動を起こしてしまうこともあります。
あくまで、個別に必要な修正やサポートを行いましょう。
(3)メンタリングとモデリング
いつの時代も、上司自身が先頭に立ち、チームの象徴的なモデルになることが必要です。
一例として、営業であれば上司自身が現場に出向き、お客様と交渉し結果を出してその背中を見せることも大切です。
メンタリングとは、主に年長者である上司と、年少者である後輩が一対一で対話し、後輩が先輩から助言をもらうことです。
そうした実践を共有する中で、部下との距離を縮めてください。
そして、みなさんの貴重な成功の秘訣やチャレンジに対する対処法を共有することで、部下の学びと成長を促進することが大切です。
(4)自己成長の機会の提供
部下がスキルを磨き、成長する機会を提供することが上司の重要な役割です。
トレーニング、セミナーなどの学習機会を提供し、新しいスキルや知識を習得できる環境を整えましょう。
また、大きな目標を小さなステップに分解し、部下が達成感を感じられるような段階的な進捗を提供することも有用です。小さな成功体験がモチベーションを高める要因となります。
(5)個人の関心や興味に合ったプロジェクトの提供
部下もその成長度合いや、正確により向き不向きが表れると思います。
一段階目としての成長機会の提供にあたっては、その部下が興味を持つ分野や関心がある領域に関連するプロジェクトを提供すること大事だと思います。
それにより必然的にモチベーションを高めることができます。仕事が楽しく興味深いものであれば、部下はより熱心に取り組むことができます。
当たり前のことですが、任せることは簡単なことではありません。
「任せたから」はまだまだ先の話と考えましょう。ここの任せるは研修の一環としての認識で構えておきましょう。
5.フィードバックの重要性
仕事を取り進める重要性のひとつに、フィードバックがあります。
ただし、私はこれまで6社を経験させていただきましたが、適切な意図をもって取り組んでいたのは、残念ながら1社だけでした。
他の皆さんから状況を聞くと、全くやらない会社、形だけやる会社がほとんどだと聞いています。
このあたりはやはり外資系の企業の方が、文化的にも進んでいるのかなと思いました。
建設的なフィードバックを提供することは、部下の成長とパフォーマンス向上に重要な役割を果たします。
以下に、上司が部下に対して具体的で建設的なフィードバックを提供する際の、ステップと注意点を詳しく説明していきたいと思います。
(1)準備をする
フィードバックの目的を明確するため、時間をかけて準備しましょう。
部下の成長やパフォーマンス向上を支援するための、具体的な目標を持つことが重要です。
残念ですが、形だけ実施している企業で就業していた際は、何の資料やデータの準備もなく、最近どう?などという話で終わる内容でした。
伝えたいことを伝えたとしても、きっと何も変わらないだろうという気持ちが芽生えてしまいます。
フィードバックを裏付けるための、具体的な事例やエビデンスを集めておきましょう。
主観的な意見ではなく、客観的なデータや具体的な行動に基づいたフィードバックでなければ、内容のないただの雑談でしかありません。
(2)適切なタイミングを選ぶ
フィードバックは必ず個室(話の漏れない場所)で行うことが必須です。
そして部下が落ち着いて、本音を話せる環境を整えましょう。
部下が集中できる時間帯や、業務に余裕がある時間帯を考慮し、適切なタイミングを選んでフィードバックを行いましょう。
(3)建設的なアプローチを心がける
フィードバックの冒頭では、部下の良い点や成果を認めることから始めた方が効果的です。
これによって、部下はオープンな姿勢を保ちやすくなります。
その上で、これまでの業務を振り返り、改善が必要な点などについて具体的に指摘を行ないましょう。
どの行動やアクションが問題とされているのか、具体的に示すことが重要です。
決して、感情に基づいて攻撃的なコミュニケーションにならないように注意しましょう。
特に日ごろの態度や業績の悪い部下に対しては、言葉が厳しくなりがちです。部下の疑問や現状を聞く姿勢でアプローチしましょう。
(4)フィードバックを受け入れる姿勢を創出する
フィードバックを受け入れる意欲を高めるため、まずは業務に対してどうであったかなど、部下が進んで自己評価を話せる場つくりを進めていきましょう。
その上で、こちらから見る改善点を提示し、克服するためのアクションプラン一緒に作成することが大切です。
部下が考えてくれる具体的な改善策について、自身の考えをもって作成できるようにサポートします。
(5)フォローアップとサポート
フィードバックの効果を確認するために、定期的なフォローアップを行いましょう。進捗や改善状況を確認し、その都度必要に応じてサポートを提供することが大切です。
このことが、一番部下にとっては「自分を気にしてくれている」という実感が得られやすいと考えます。
年に1、2度の面接だけでは何も効果は生まれません。
そして、部下が改善を達成した際には、その成果を認め、褒めることを忘れずに行いましょう。
6.まとめ
上司と部下の関係は、言葉で言い表すことができない人間関係の要素が強いので、必ずしもこの手法が正しいということではありません。
皆さん自身の個性によっても変化すると思いますので、ポイントとして頭の片隅に入れていただければと思います。
部下にとって上司は、自身の成長を左右する重要な存在です。
また、なによりも上司は部下が仕事をすることによって、給与を頂いていることを忘れてはいけません。
「マネージメントもできない、働きやすい環境も提供できない上司について、私は本当に必要ないと考えます。」 と、いつも自分に強く言い聞かせて頑張ってきました。
楽しく働ける職場があって、初めて部下は本来の力を発揮してくれると思います。