トランプ大統領が発表した「相互関税」が世界経済に衝撃を与えています。
この記事では、相互関税とは何か、いつから実施され、日本への影響はどうなるのかをわかりやすく解説します。
本記事のテーマ
- 相互関税とは?
- いつから始まったの?
- 日本への影響はどうなる?
- なぜ日本に24%なの?
- どの商品が対象になる?
- 世界経済への影響は?
- 各国はどう対応している?
1.相互関税とは?

「相互関税」とは、貿易相手国が高い関税を課している場合、自国の関税も相手国と同じ水準まで引き上げる措置のことです。
トランプ政権の相互関税の最大の特徴は、他国の付加価値税(日本でいえば消費税)も非関税障壁の一種とみなし、これも含めて関税率を決定する点にあります。
アメリカ政府は「長年にわたって友好国・敵対国を問わず貿易相手国から不当な扱いを受けてきた。
この『相互性の欠如』がアメリカで巨額の貿易赤字が恒常的に続く要因の1つとなっている」と主張しています。

2.いつから始まったの?

トランプ政権の相互関税は以下のスケジュールで実施されました。
- 2025年4月5日:すべての国からの輸入品に対して一律10%の関税を課す
- 2025年4月9日:国・地域ごとに設定した追加の「相互関税」を発動
すでに実施されている鉄鋼・アルミニウムへの関税や、2025年4月3日に発動された自動車への25%の追加関税に加え、さらに広範囲の品目に追加の関税が課されることになりました。

3.日本への影響はどうなる?

日本に対しては24%の相互関税が課されています。アメリカは日本の最大の輸出相手国であるため、影響は大きいといえます。
- 日本の実質GDPは最大で1.8%程度下押しされる可能性
- 輸出企業(特に自動車以外の機械、光学機器など)への打撃
- 既に25%の追加関税が課された自動車産業にさらなる圧力
日本からアメリカへの主な輸出品は自動車だけでなく、建設用・鉱山用機械や科学光学機器、半導体製造装置なども含まれます。これらの産業への影響も懸念されています。

4.なぜ日本に24%なの?

トランプ政権は、日本がアメリカに対して46%の関税を課しているのに相当すると主張しています。
この計算には実際の関税だけでなく、付加価値税(消費税)や非関税障壁も含まれています。そして、その約半分の24%を相互関税として設定したとのことです。
トランプ大統領は演説で「日本はアメリカ産のコメに700%の関税をかけている」と批判し、「日本では自動車の94%が日本製だ」と不満を表明しました。

5.どの商品が対象になる?

相互関税の対象にならない品目もあります。現在、公表されている品目は以下の通りです。
- すでに25%の関税が課されている鉄鋼製品やアルミニウム
- 2025年4月3日に25%の関税が発動された自動車と自動車部品
- 銅、医薬品、半導体、木材、金や銀などの地金
- アメリカ国内で入手できないエネルギーや鉱物など

6.世界経済への影響は?

専門家は「リーマンショックや新型コロナショックと比べると軽いかもしれないが、2025年の日本経済の成長がすべて吹き飛ぶくらいのインパクトが出てくる可能性がある」と指摘しています。
大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは、アメリカの平均関税率が25%に上昇するとの予測を発表し、これは1909年以来、115年で最高の関税率だと指摘しています。

7.各国はどう対応している?

中国に対しては最も厳しい104%の関税が課されており、中国は「関税戦争、貿易戦争を強行するのであれば、中国は最後までつきあう」と対抗措置を示唆しています。
一方、日本を含む多くの国は対抗措置ではなく交渉による解決を目指しています。カンボジア、ベトナム、タイ、インドネシアなどは、アメリカからの輸入を増やす方針を表明し、関税引き下げを求めています。
