2024年6月5日、林官房長官は2023年時点での合計特殊出生率が1.20となり過去最低を更新したことを発表しました。
そして、「少子化の進行は危機的だ。対策は待ったなしの瀬戸際にある」と述べ、少子化対策の強化に取り組む方針を強調しました。
若年人口が急激に減少するには2030年代と言われています。
残りわずか6年間の中で、政府がどのような少子化対策を行い、この状況を変えていけるかが非常に大きな課題になっており、状況を反転させるラストチャンスの時期を向かえています。
今回は、少子化傾向を反転させるために実施されている少子化対策について、実施内容をまとめてみました。
1.本記事のテーマ
- 支援策の実施時期
- 児童手当の抜本的拡充
- 出産等の経済的負担の軽減
- 大学などの教育費の負担軽減
2.支援策の実施時期
- 【保育環境】こども誰でも通園制度
- 【働き方】106万円・130万円の年収の壁対策
- 【住宅支援】フラット35の金利優遇
- 【児童手当】対象拡大と多子世帯増額
- 【奨学金】給付型少額金、授業料減免の拡大
- 【奨学金】修士課程学生の授業料後払い制度の導入
- 【働き方】育児期の選べる働き方
- 【育児休暇】28日間、手取り100%の実施
- 【働き方】時短勤務の給付制度創設
- 【教育】大学授業料無償化
- 【出産】出産費用の保険適用
- 【働き方】自営業者を対象とした育児期間の保険料免除措置
- 【働き方】パート勤務者の雇用保険の適用拡大
3.児童手当の抜本的拡充
児童手当は、次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済支援として位置付けが明確化されました。所得制限は撤廃されて、支給期間は高校生まで延長されます。
(1)支給対象
現在は中学卒業まで支給されている児童手当が、高校卒業(18歳に達する日以降の最初の3月31日)まで延長される方針です。
また、現在は第3子がいる家庭は、第1子が高校を卒業する段階で第3子加算が終了となりますが、今後は第1子が22歳の年度末に達するまで、加算が継続する方針です。
(2)支給額
① 3歳未満:1万5000円/月
② 3歳~18歳:1万円/月
③ 第3子以降(0歳〜18歳の全年齢):3万円/月
支給回数は現在の年間3回(4か月ごとに支給)から、年間6回(偶数月に支給)に変更となります。
(3)支給時期
2024年12月の支給分から開始予定。
4.出産等の経済的負担の軽減
2023年4月から、出産育児一時金を42万円から50万円に引き上がりました。また、2024年度より、遠方の分娩取扱施設で出産する必要がある妊婦さんに対しては交通費等の費用助成が開始されています。
今後、2026年度を目途に、出産費用の保険適用の検討が進められています。
(1)保険適用
これまで、出産にかかる保険適用はありませんでした。
通常は医療費の1~3割が患者の自己負担となっていますが、出産費用については「自己負担なし」とした上で、「給付」が検討されています。
(2)対象者
正常分娩で出産される方。
(3)実施時期
2026年度を目途に検討中。
4.大学などの教育費の負担軽減
教育費の負担が理想のこども数を持てない大きな理由の一つとなっているとの声から、特に大学進学などにかかる授業料の無償化や奨学金の所得制限緩和などが検討されています。
(1)大学などの授業料無償化
3人以上の子どもがいる世帯への支援策として、子どもの大学授業料などが無償化される方針です。
3人子どもがいる場合で、第1子と第2子が大学に在籍している場合は2人とも対象です。ただし、第1子が卒業後に扶養から外れると、扶養する子どもが2人となり対象外になります。
【厚生年金受給者】
定額減税前の税額をもとに算出した令和6年10月分の特別徴収税額から控除します。控除しきれない場合は、令和6年12月分以降の特別徴収税額から順次控除されます。
【普通徴収】※不動産所得、事業者所得など
定額減税前の税額をもとに算出した第一期分(令和6年6月分)の税額から控除します。第一期分から控除しきれない場合は、第二期分(令和6年8月分)以降の税額から順次控除されます。