公営競技における通信機器の持ち込み禁止は、公正性を確保し、不正行為を防ぐために設けられています。
以下に、主要な公営競技(競輪、競馬、ボートレース)での禁止事項や試合前のスケジュール、過去の規制違反事例について詳しく説明します。
1.本記事のテーマ
- 競輪
- 競馬
- ボートレース
- 禁止されている通信機器
2.競輪
禁止事項
競輪では、選手が宿舎に通信機器を持ち込むことが禁止されています。具体的には、スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスが対象です。
選手は、宿舎に入る際にこれらの機器を施行者に預ける必要があります。
試合前のスケジュール
競輪選手は、レース開催日の前日までに宿舎に入る必要があります。宿舎では健康診断や自転車の検査が行われ、その後は外部との接触が禁止されます。
選手は通常、4人部屋で共同生活をしながら、レースに向けた調整を行います。
過去の規制違反事例
2018年には、女子競輪選手の大久保花梨選手が通信機器を持ち込んだことで「管理秩序違反」とされ、出場契約が即日解除される事件がありました。
- 1950年 鳴尾競輪場事件: レース中にクランクピンが緩んだ選手がレースのやり直しを求めたが、レースは続行され、八百長疑惑が浮上しました。
- 1951年 伊東競輪場事件: 小説家の坂口安吾が判定写真に不正があると告発しましたが、調査の結果、不正は確認されませんでした。
- 2018年 久留米競輪場事件: 大久保花梨選手がスマホを持ち込んでいたことが発覚し、八百長疑惑が浮上しました。調査の結果、通信機能は使われていなかったものの、規則違反として処分を受けました。
- 通信機器の持ち込み禁止: 選手はレース期間中、外部との接触を防ぐために通信機器の持ち込みが禁止されています。これにより、不正行為や情報漏洩を防止しています2。
- 厳格な監視体制: 競輪場には監視カメラが設置され、選手や関係者の行動が常に監視されています。また、選手は宿舎で隔離され、公正な競技環境を維持しています。
- 教育と啓発活動: 選手に対する教育や啓発活動を通じて、公正な競技精神を養う取り組みが行われています。これにより、選手自身の意識向上を図っています。
3.競馬
禁止事項
通信機器、特にスマートフォンやインターネット接続が可能なデバイスの持ち込みが制限されるのは、公正な競馬を維持するためです。
通信機器を使用することで、外部からの情報を不正に入手したり、レースに関する情報を外部に漏らしたりするリスクがあります。これにより、レースの結果に影響を与える可能性があるため、厳格に管理されています。
競馬でも同様に、選手(騎手)が宿舎に通信機器を持ち込むことは禁止されています。
特に中央競馬では、騎手は調整ルームで外部との接触を断たれます。
試合前のスケジュール
騎手はレース開催日の前日夜までに調整ルームに入室し、その後は外部との連絡が禁止されます。騎手はレース当日に向けて体調管理や馬との調整を行います。
騎手はレース前に体重を測定し、必要に応じて重りを追加します。騎手とその装備が規定の体重を下回る場合、重りを追加して調整します。
また、宿舎では他の騎手やトレーナーと戦略を練ることも可能です。
過去の規制違反事例
1965年に発生した「山岡事件」は、日本中央競馬史上最大の八百長事件として知られています。
この事件では、騎手の山岡忞が暴力団と結託し、特定のレースで意図的に敗退するよう指示を受けたことが明らかになりました。
- 八百長行為: 競走の結果を意図的に操作する行為で、騎手や関係者が共謀して特定の馬を勝たせないようにすることがあります。これにより、特定の賭けが有利になるように仕組まれることがあります。
- 通信機器の不正使用: 騎手がレース前にスマートフォンなどを使用して外部と連絡を取り、レース結果に影響を与える情報をやり取りするケースがあります。2024年には、永野猛蔵騎手と小林勝太騎手が調整ルームでスマホを使用し、騎乗停止処分を受けました。
- 賭博行為: 騎手が自らの騎乗馬に賭けたり、仲間と共謀してレース結果を操作する事例も報告されています。これらは競馬の公平性を侵害する重大な不正行為です。
- 監視体制の強化: 競馬場では監視カメラの増設や通信制限などのセキュリティ強化が行われています。また、レース中の異常な動きや賭けパターンをリアルタイムで監視する技術も導入されています。
- 倫理教育と厳罰化: 騎手や関係者に対する倫理教育が徹底されており、不正行為が発覚した場合には厳しい罰則が科されます。例えば、八百長に関与した場合は長期間の資格停止や罰金が課されることがあります。
- 透明性の向上: 競馬ファンや関係者への情報提供を透明化し、不正行為への疑問があれば報告しやすい環境を整えています。これにより、ファン自身が不正を疑った際に迅速な対応が可能となります。
4.ボートレース
禁止事項
ボートレースでも選手による通信機器の持ち込みは禁止されています。選手は宿舎で生活する際、これらの機器を預ける必要があります。
試合前のスケジュール
ボートレーサーもまた、レース開催日の前日までに宿舎入りし、その後は外部との接触が制限されます。健康診断やボートの点検も行われます。
過去の規制違反事例
2023年に発覚した江戸川競艇場の職員による舟券購入違反があります。この事件では、競艇場で勤務していた職員が業務中にスマートフォンを使用して舟券を購入していたことが問題視されました。
- 西川昌希選手の八百長事件
西川昌希元選手は、2016年から2019年にかけて親戚と共謀し、通信機器を使用してレースの着順を操作していました。彼は宿舎にスマートフォンを持ち込み、「今日は飛ぶ」といった隠語を使って着順を伝えていたことが明らかになっています。この行為によって、約7億円以上の不正利益を得ていたとされています。2020年に逮捕され、懲役3年と追徴金3725万円の判決を受けました。 - 国光秀雄の不正プロペラ事件
1988年には、国光秀雄元選手が他の選手と共謀し、不正に加工されたプロペラを使用して八百長を行いました。内部告発によって発覚し、関与した選手たちは逮捕され、国光秀雄は競艇界から永久追放されました。 - 平田忠則選手の通信機器持ち込み事件
2004年に平田忠則選手が宿舎に通信機能付き電子手帳を持ち込み、家族との連絡に使用したとして1年間の出場停止処分を受けました。八百長には使用されていないとされていますが、疑惑が残りました。
- 委員会の設置: ネットやブログでの書き込み、内部通報に対して異常投票や疑いのあるレース映像を検証するための委員会が設置されています。
- 金属探知機の導入: 全レース場に金属探知機を追加導入し、私物検査を強化しています。
- 専用相談窓口: フリーダイヤルやメールによる専用相談窓口を設置し、内部通報制度を導入しています。
- 内部監査の実施: 審判・検査・管理等の業務に対する内部監査が実施されています。
5.禁止されている通信機器
- スマートフォン: 競技中の持ち込みは禁止されています。
- タブレット: 競技中の使用は許可されていません。
- その他の通信機器: モバイル通信が可能なデバイスはすべて禁止されています。
- 音楽再生: 音楽を聴く目的でのみ使用が許可されています。
- 保管場所: 競技中は通信機器を指定の保管場所に預ける必要があります。
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